
『日本陸軍「戦訓」の研究―大東亜戦争期「戦訓報」の分析』は、白井明雄氏による日本陸軍の戦訓報に関する詳細な研究書です。
以下に、この書籍の紹介をいたします。
出版情報
出版社 | 芙蓉書房出版 |
著者 | 白井 明雄 |
発売日 | 2003年2月1日 |
ページ数 | 324ページ |
ISBN13 | 978-4829503270 |
本の概要
本書は、大東亜戦争(太平洋戦争)中に日本陸軍が作成・配布した『戦訓報』『戦訓特報』『戦訓速報』『技術戦訓』『放送戦訓』などの各種「戦訓報」を分析し、これらがどのように編纂され、全軍に共有されたか、そしてその活用における問題点を探求しています。
著者は、防衛研究所が収集した膨大な史料群と公刊戦史を徹底的に分析し、戦訓を活かすための組織のあり方を明らかにすることを目的としています。
著者について
白井明雄氏(1929年生まれ)は、元陸上自衛官であり、軍事史家としても知られています。
旧制中学校在学中に海軍予科練に志願し、終戦後は警察予備隊に入隊。その後、陸上自衛隊で第18普通科連隊長や第9師団長などを歴任し、1986年に陸将として退官しました。
退官後は軍事史学会の会員として活動し、軍事史に関する著作や論文を多数執筆しています。
評価と感想
本書は、日本陸軍の組織的な問題や戦訓の活用に関する深い洞察を提供しており、軍事史研究者や第二次世界大戦に興味を持つ読者にとって貴重な資料となっています。
特に、戦訓報の編纂過程やその問題点を詳細に分析している点が評価されています。
一方で、専門的な内容が多く含まれているため、軍事史に関する基礎知識を持つ読者により適していると言えます。
重要なポイント
本書の中で特に注目すべき点は、以下の章です:
- 第1章『戦訓特報』の概要と問題点摘出の研究:主要作戦段階における『戦訓特報』の指導を分析し、その問題点と戦訓活用への示唆を考察しています。
- 第2章『戦訓報』『戦訓速報』等の概要と戦法創案への寄与についての研究:戦局の推移に応じた各種戦訓報の指導を分析し、戦法創案への寄与を探求しています。
これらの章では、戦訓報の具体的な内容やその活用における課題が詳細に述べられており、日本陸軍の組織的な問題点を浮き彫りにしています。
まとめ
『日本陸軍「戦訓」の研究』は、日本陸軍が大東亜戦争期に作成した戦訓報の分析を通じて、組織的な教訓の活用方法やその問題点を明らかにしています。
軍事史研究や組織論に興味を持つ読者にとって、貴重な知見を提供する一冊です。
また、戦訓の重要性や組織における情報共有の課題について考える上でも有用な資料となっています。