映画監督　山中貞雄

加藤泰著の『映画監督山中貞雄』は、夭折の天才監督・山中貞雄の生涯と業績を詳細に描いたノンフィクション作品です。

著者の加藤泰は、山中貞雄の甥であり、自身も『緋牡丹博徒』シリーズなどで知られる映画監督として活躍しました。

本書は、山中の生誕100年、没後70年にあたる2008年に復刻され、日本映画史における貴重な資料として高く評価されています。

内容と構成

本書は、山中貞雄の生涯、彼の作品、そして彼を取り巻く映画界の状況を詳細に描写しています。

山中は22歳からわずか5年間で26本の映画を監督しましたが、その多くは現存せず、現在鑑賞できるのは『丹下左膳余話百萬両の壺』『河内山宗俊』『人情紙風船』の3作品のみです。

加藤泰は、膨大な資料収集と関係者へのインタビューを通じて、山中の人間性や創作活動、そして彼の作品が持つ魅力を生き生きと描き出しています。

本書は、映画評伝として高い評価を受けており、日本映画の黄金期を象徴する名監督の一人である山中貞雄の人物像や作品の魅力を深く理解するための必読書とされています。

また、著者自身が映画監督であり、山中の親族であることから、作品には深い愛情と洞察が込められています。

読者からは、「日本映画の青春時代と自身の青春時代が見事に一致した山中貞雄。

その作品の大半は失われ、私たちが見ることはできないのですが、本書では山中貞雄の生涯と、傑作揃いといわれた作品の概要をこれまた戦後の名匠だった加藤泰の絶妙な語り口で紹介しています。」といった感想が寄せられています。

◾️状態◾️
多少シミ汚れあり。