
『清兵衛と瓢箪・網走まで』は、志賀直哉の初期短編を集めた作品集で、彼の作家的自我確立の過程をたどることができます。
収録作品には、「清兵衛と瓢箪」や「網走まで」など、全18編が含まれています。
出版情報
出版社 | 新潮社 |
著者 | 志賀直哉 |
発売日 | 1968年9月17日 |
ページ数 | 368ページ |
ISBN-10 | 4101030049 |
ISBN-13 | 978-4101030043 |
本の概要
本書は、志賀直哉の初期短編18編を収録した作品集です。「清兵衛と瓢箪」では、瓢箪に魅了される少年と、それを快く思わない父親との対立が描かれています。
「網走まで」は、列車内での母親と赤子の交流を通じて人間関係の機微を表現しています。
他にも、「剃刀」や「濁った頭」など、人間の心理や社会の矛盾を鋭く描いた作品が収められています。
著者について
志賀直哉(1883-1971)は、宮城県石巻町生まれの日本の小説家で、「小説の神様」と称されることもあります。
学習院高等科を経て東京帝国大学文学部を中退し、在学中に武者小路実篤らと同人雑誌「白樺」を創刊しました。
自我の絶対的な肯定を根本とする姿勢を貫き、父親との対立など実生活の問題を見据えた私小説や心境小説を多数発表しました。
主な作品に『和解』『城の崎にて』『暗夜行路』などがあります。
評価と感想
読者からは、「文章が読みやすく、ひょんなことでも題材にできるのはすごい」との声があります。
また、「家族との関係性に焦点を当てた、多分に私小説的な作品群」との評価もあり、志賀直哉の家族や住んだ地域の影響が作品に反映されていることが指摘されています。
特に「剃刀」や「濁った頭」などの作品が印象に残ったとの感想も多く見られます。
重要なポイント
「清兵衛と瓢箪」は、瓢箪に取りつかれる少年と、それを苦々しく思う父親との対立を描いた作品で、少年の純粋な情熱と大人の価値観の衝突がテーマとなっています。
「網走まで」は、列車内での母親と赤子の交流を通じて、人間関係の温かさや孤独感を描いており、志賀直哉の人間観察の鋭さが光る作品です。
これらの作品を通じて、志賀直哉の独自の視点や人間心理への深い洞察を感じ取ることができます。
まとめ
『清兵衛と瓢箪・網走まで』は、志賀直哉の初期短編を通じて、彼の作家的成長や人間観察の鋭さを感じることができる作品集です。
家族関係や人間心理に興味がある読者、また日本文学や私小説に関心のある方に特におすすめです。
志賀直哉の美しい文章と深い洞察力を堪能できる一冊となっています。