近代劇全集 第2巻 北欧篇(ペエア・ギユント,ロスメルスホルム, ヘツダガーブレル)

出版情報

項目詳細
出版社第一書房
発売日昭和3年

本の概要

『近代劇全集 第2巻 北欧篇』は、北欧文学の名作を集めた劇文学集です。本書には、次の3つの作品が収録されています。

  • 『ペエア・ギユント』(ヘンリック・イプセン著):ノルウェーの詩的で哲学的なドラマ。この物語は、主人公ペエア・ギユントの冒険と自己発見の旅を描き、幻想的な世界観と深い心理描写が特徴です。
  • 『ロスメルスホルム』(ヘンリック・イプセン著):人間関係や社会的道徳を探る深遠なドラマで、亡き妻の影響を受けた主人公と周囲の人々の葛藤を描きます。
  • 『ヘツダガーブレル』(ヘンリック・イプセン著):自由や抑圧、野心の対立をテーマにしたドラマで、主人公ヘッダの複雑な心理と行動が物語を動かします。

それぞれの作品は北欧の近代劇の発展を示す重要な位置づけを持ち、個人と社会、自由と責任など普遍的なテーマを掘り下げています。


著者について

本書に収録されている全ての作品は、近代演劇の巨匠、ヘンリック・イプセンによるものです。

イプセン(1828年 - 1906年)はノルウェーの劇作家で、「近代劇の父」として知られています。

彼の作品は個人の心理や社会的問題を取り扱い、19世紀から20世紀にかけての演劇に大きな影響を与えました。

代表作には『人形の家』や『幽霊』などがあります。彼の作品は、リアリズムと象徴主義が融合した特有のスタイルで、多くの国々で評価され続けています。


評価と感想

『近代劇全集 第2巻 北欧篇』は、北欧文学の魅力を存分に味わえる一冊です。

それぞれの作品は、登場人物の深い心理描写と社会的テーマの追求によって読者に強い印象を与えます。

特に『ペエア・ギユント』の詩的な表現や、『ロスメルスホルム』における人間関係の緊張感は秀逸です。

また、『ヘツダガーブレル』の主人公ヘッダの複雑な内面に共感したり、驚かされたりする読者も多いでしょう。

これらの作品は、現代の読者にも多くの示唆を与え、個人と社会の関係を問い直すきっかけを提供してくれます。特に、文学や演劇に興味のある読者には必見の内容です。


重要なポイント

  • 『ペエア・ギユント』:主人公の内面と幻想的な旅路が交錯する第4幕は、物語全体の哲学的テーマを象徴しています。この章では、自己と向き合うことの難しさとその重要性が描かれています。
  • 『ロスメルスホルム』:作中に登場するロスメル家の古い屋敷は、登場人物たちの心情や過去の影響を象徴しており、物語の象徴的な背景となっています。
  • 『ヘツダガーブレル』:ヘッダの最後の行動は、彼女の自由への欲望と抑圧からの解放を強烈に表現しており、多くの議論を呼ぶ結末となっています。

まとめ

『近代劇全集 第2巻 北欧篇』は、北欧文学の精髄を集めた貴重な一冊です。

イプセンの代表作を通じて、個人と社会、自由と抑圧、人間の本質を深く考えさせられます。

これらの作品は、現代の読者にも新しい視点を提供し、文学と演劇の可能性を広げる力を持っています。

北欧文化や近代演劇に興味がある方には、ぜひ手に取っていただきたい一冊です。