出版情報
項目 | 詳細 |
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著者 | 佐藤 優 |
出版社 | NHK出版 |
発売日 | 2007年12月 |
ページ数 | 320ページ |
ISBN | 978-4140911006 |
本の概要
『国家論―日本社会をどう強化するか』は、作家であり元外交官の佐藤優氏が、日本の国家と社会の関係性を深く探求した作品です。
本書では、マルクスや宇野弘蔵の資本主義分析、アーネスト・ゲルナーのナショナリズム論、そして柄谷行人の国家論など、多様な理論を交差させながら、国家の本質とその暴力性、そして社会との相互作用について論じています。
特に、国家が持つ暴力的収奪機能と、それを互酬的と擬制するネーション(国民)の役割に焦点を当て、国家と社会の力関係を再考察しています。
著者について
佐藤 優(さとう まさる、1960年生まれ)は、日本の作家・元外交官であり、同志社大学神学部を卒業後、外務省に入省しました。
在ロシア日本大使館勤務などを経て、2002年に背任と偽計業務妨害の容疑で逮捕されましたが、その後作家として活動を再開。
『国家の罠』や『自壊する帝国』など、多くの著作を通じて国際情勢や宗教、国家論など幅広いテーマを扱い、高い評価を受けています。
評価と感想
本書は、国家と社会の関係性を多角的に分析し、国家の暴力性とその抑制方法について深く考察しています。
特に、著者の実務経験と豊富な知識に裏打ちされた論述は説得力があり、読者に新たな視点を提供します。
また、キリスト教的視点から国家の「悪」と「必要性」を論じる姿勢は、国家に対する過度な期待や偶像化を戒め、冷静な視点を持つことの重要性を教えてくれます。
重要なポイント
本書で特に印象的なのは、著者が「社会を強くせよ」と提言している点です。
国家の暴力性を抑制するためには、社会が強固であることが必要であり、社会が国家に圧力をかけることで、新自由主義的な政策や過度な資本の影響力を制御できると述べています。
この視点は、現代社会における市民社会の役割と重要性を再認識させてくれます。
まとめ
『国家論―日本社会をどう強化するか』は、国家と社会の関係性を再考する上で必読の一冊です。
著者の深い洞察と多角的な分析により、読者は国家の本質や社会の役割について新たな理解を得ることができます。
国家に対する冷静な視点と、社会の強化の必要性を説く本書は、現代日本における重要な示唆を提供しています。