
『中学生から知りたいパレスチナのこと』は、アラブ文学、西洋史、現代史の専門家である岡真理、小山哲、藤原辰史の3氏によって執筆された書籍です。
本書は、パレスチナ問題を通じて新たな世界史の視点を提供し、読者が戦争と自身の関わりを再認識することを目的としています。
出版情報
項目 | 詳細 |
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出版社 | ミシマ社 |
発売日 | 2024年7月26日 |
ページ数 | 224ページ |
ISBN | 978-4911226063 |
本の概要
本書は、パレスチナ問題を多角的に探求し、以下の3部構成で展開されています。
- 私たちの問題としてのパレスチナ問題:岡真理氏が、ガザのジェノサイドと近代500年の植民地主義の関係性を論じ、パレスチナ問題がヨーロッパの問題としても捉えられるべきであると指摘しています。
- 小さなひとりの歴史から考える:小山哲氏が、ウクライナとパレスチナの歴史をつなぐ書店店主の話を通じて、個人の歴史が大きな歴史とどのように交差するかを考察しています。
- 鼎談『本当の意味での世界史』を学ぶために:3人の著者が、現在の世界史の捉え方や、パレスチナ問題を含む歴史の再評価の必要性について議論しています。
著者について
- 岡真理:1960年生まれ。早稲田大学文学学術院教授。専門は現代アラブ文学、パレスチナ問題。主な著書に『ガザとは何か』『記憶/物語』などがあります。
- 小山哲:1961年生まれ。京都大学大学院文学研究科教授。専門は西洋史、特にポーランド史。共編著に『中学生から知りたいウクライナのこと』などがあります。
- 藤原辰史:1976年生まれ。京都大学人文科学研究所准教授。専門は現代史、特に食と農の歴史。主な著書に『中学生から知りたいウクライナのこと』『縁食論』などがあります。
評価と感想
本書は、中東と中東欧の歴史を交錯させてパレスチナ問題を論じており、これまでにない視点を提供しています。
特に、ガザ戦争の背景にヨーロッパの入植植民地主義を見出すなど、深い洞察が印象的です。
パレスチナ問題を理解したい読者や、歴史の再評価を求める方におすすめの一冊です。
重要なポイント
第Ⅰ部で岡真理氏が述べる「ジェノサイドが終わるだけでは不十分」という指摘は、パレスチナ問題の根深さを示しています。
また、第Ⅲ部の鼎談での「今の世界史は地域史の寄せ集め」という議論は、世界史の再構築の必要性を強調しています。
まとめ
『中学生から知りたいパレスチナのこと』は、パレスチナ問題を通じて世界史の新たな視点を提供する意欲的な作品です。
歴史を学び直し、現代の問題を深く理解するための一歩として、多くの読者に手に取っていただきたい一冊です。